「鍼灸師はやめとけ」といったネガティブな言葉をネットや周囲から聞いたことがある人は多いでしょう。実際、鍼灸師の道は決して甘いものではなく、収入面や職場環境などの現実に不安を抱える声も少なくありません。
しかし一方で、鍼灸師としてやりがいを感じながら活躍している人がいるのも事実です。大切なのは、自分が本当に目指すべき道なのかを、冷静かつ現実的な視点で判断することです。
この記事では、鍼灸師が「やめとけ」と言われる理由を整理した上で、それでも進む価値がある人の特徴や、成功に必要な準備についても解説します。
このページでわかること
- 鍼灸師が「やめとけ」と言われる主な理由
- 鍼灸師の収入や労働環境などの実情
- それでも鍼灸師を目指す価値がある人とは
- 成功するための準備とキャリア設計のポイント
- 鍼灸師としての可能性を広げる新しい働き方
なぜ「鍼灸師はやめとけ」と言われるのか?

鍼灸師という職業には、「やめとけ」と言われるだけの現実的な理由が存在します。ここでは、その中でも特に多くの人が直面する4つの課題について、具体的な背景と数値データを交えて解説します。
業界の飽和と競争の激化
以下の表は、日本における鍼灸師の業界飽和と競争激化の数値データを示したものです。実際に鍼灸師として働く際の市場環境を把握するための参考になるでしょう。
項目 | 数値 | 補足説明 |
---|---|---|
免許取得者数 | 約 130,000 人 | 日本全国で鍼灸師の国家資格を得た人数 |
実際に開業・従事している鍼灸師 | 約 80,000 人 | 資格保持者のうち、実務に従事している人数(2000年代初期) |
鍼灸院の数 | 約 50,000 件 | 日本全国の鍼灸院の推定数 |
年間利用率(成人の割合) | 6~7% | 1年間に鍼灸・灸を受けた成人の割合 |
これらの数値から読み取れること
- 開業・勤務先の院数も多いため、1施設あたりの競争が激しい
- 資格取得者が多い中、実際に現場で働いている人数との差が大きい(約50,000人の差)
- 鍼灸を実際に受ける人が成人の6〜7%に留まるため、需要に対して供給が過剰な傾向
このような状態が「業界が飽和気味」とされる背景となっています。
次のステップとして、収入や就業環境の実態、技術・資格取得面での課題なども見ていくと、自分にとっての適性やリスクをより具体的に判断できるようになります。
収入の低さと労働条件の厳しさ
鍼灸師の平均年収は全体的に低く、初任給が300万円台前半というケースも珍しくありません。さらに長時間労働や、休みが取りづらい職場もあるため、収入と労力のバランスに不満を感じて離職する人もいます。
- 平均年収:約350万円前後(勤務先や地域により大きく差)
- 労働時間:朝から夜まで拘束されるケースも多い
- 休暇:週1〜2日、連休が取りづらい職場も存在
技術習得の壁と職場選びの難しさ
資格を取っただけでは一人前にはなれず、実際に患者に触れて経験を積むことでスキルが磨かれていきます。しかし、職場によっては見習い的な扱いが続き、技術を学べる環境が整っていない場合もあります。
- 技術指導が受けられない職場もある
- 雑務が中心で実践の機会が少ない
- 成長スピードは環境と指導者に依存する
学費負担の大きさと回収の難しさ
鍼灸師になるには、専門学校や大学での学びが必要であり、3年間で300〜500万円という学費がかかることもあります。資格取得後に収入が低い場合、その費用を回収するのに長い年月がかかるケースもあります。
- 学費:専門学校で3年間通学=約350〜500万円
- 生活費・通学費用も別途かかる
- 開業を目指す場合はさらに開業資金が必要
それでも鍼灸師を目指す価値がある人の特徴
「やめとけ」と言われる理由がある一方で、それを乗り越えて鍼灸師として成功している人も多くいます。ここでは、鍼灸師に向いている人の特徴を具体的に紹介します。
情熱と覚悟を持っている人
鍼灸師の仕事は、技術職であり接客業でもあります。強い意志と長期的な視野でキャリアを築ける人は、苦しい状況でもブレずに前進できます。
- 「人の体や心の不調を改善したい」という思いが強い
- 苦手なことでも継続して努力できる粘り強さがある
- 試行錯誤しながら改善を続けられるタイプ
専門分野にこだわりを持つ人
一般的な鍼灸だけでなく、美容鍼灸・スポーツ鍼灸・高齢者ケアなど、特定の分野で強みを持つことで差別化しやすくなります。強い関心を持てる分野がある人は、それを武器にできます。
- 美容に興味があり、美容鍼で独立を目指したい
- スポーツトレーナーとして競技選手を支えたい
- 高齢者の健康維持・予防医療に貢献したい
独立志向で柔軟な発想がある人
開業を目指すのであれば、経営力・発信力・創意工夫が欠かせません。技術力だけでなく、ビジネス感覚を持っている人は、安定した集客と収入の確保が可能です。
- SNSやホームページで集客や情報発信ができる
- 鍼灸だけでなく整体やカウンセリングも学びたい
- 地域ニーズに合わせた柔軟なサービス設計ができる
このような資質やビジョンを持った人は、業界の厳しさを理解した上で、むしろ自分らしいキャリアを築くことができます。大切なのは「自分が何をしたいのか」を明確にすることです。
成功するために必要な準備と行動
鍼灸師として活躍するには、資格取得だけでは不十分です。入学前の準備からキャリア設計、将来的なスキルアップまでを見据えた行動が重要になります。
事前の職場体験と情報収集
入学前に鍼灸院の見学や、実際に施術を受けてみることで、自分に合っているかを判断しやすくなります。理想と現実のギャップを埋めるためにも、事前の行動が不可欠です。
- 複数の鍼灸院を見学し、働く人の話を聞いてみる
- 美容鍼やスポーツ鍼など、興味ある分野の施術を受けてみる
- 専門学校のオープンキャンパスや体験授業に参加する

将来設計と収益モデルの確認
鍼灸師として収入を得ていくには、勤務か独立か、どの分野で勝負するかを明確にする必要があります。将来の働き方から逆算して、キャリアプランを立てておきましょう。
- 勤務型:安定した給与を得つつ経験を積む
- 独立型:地域密着型の治療院を開業して自分のやり方を追求
- 専門型:美容やスポーツなど高単価・高付加価値分野に特化
鍼灸+αのスキル取得戦略
鍼灸だけで勝負する時代は終わりつつあります。他の資格や技術と組み合わせることで、強みが明確になり、他院との差別化が図れます。
資格・スキル | 活かせる分野 | メリット |
---|---|---|
柔道整復師 | 整骨院・接骨院 | 保険適用施術の幅が広がる |
あん摩マッサージ指圧師 | 訪問マッサージ・医療福祉 | 訪問リハや高齢者ケアで活躍 |
パーソナルトレーナー資格(NSCA等) | スポーツ・フィットネス | 運動指導を含めた施術が可能 |
メディカルアロマ・栄養士など | 美容・体質改善・生活習慣病対策 | トータルケアとしての差別化が可能 |
プラスαの資格を取得することで、「選ばれる鍼灸師」への道が拓けます。自分の興味や得意分野に合わせて戦略的にスキルを広げましょう。

鍼灸師の副業求人と海外キャリアのすすめ
副業・複業としての鍼灸求人情報
鍼灸師として副業やWワークが可能な求人は、エリアや働き方を問わず一定数掲載されています。以下は具体的な事例です。
エリア | 求人件数(副業・WワークOK) | 給与目安・特徴 |
---|---|---|
全国 | 約640件 | リジョブで幅広く掲載されており、未経験歓迎・研修制度ありの職場も多い |
神奈川県 | 58件 | 正社員平均月収 約25.9万円、アルバイト時給 約1,240円。しっかり働きつつ副業可能な求人多数 |
東京都 | 非常に多数 | 例:月給35~40万円、副業OK、完全週休2日、独立支援ありの求人あり。週2〜3日からのシフト勤務も可 |
訪問施術分野 | — | 事務・営業不要、回数券・売込みなしの訪問鍼灸・マッサージ案件あり。高待遇の可能性あり : |
ポイントとしては
- リジョブやジョブメドレーなどの医療系求人サイトで「副業OK」で検索すれば多数ヒット。
- 神奈川や東京ではWワーク可能な職場が複数。柔軟な働き方が選べるのが魅力。
- 特に訪問鍼灸では営業不要など働きやすさが目立つ求人もあります。

海外キャリアとしての鍼灸師 – 国際的な働き方と準備ステップ
鍼灸師として海外で働く道は多様ですが、国・地域によって求められる条件や働き方が大きく異なります。以下に代表的な選択肢とポイントを整理しました。
主な海外での働き方と注意点
1. 海外の鍼灸院・サロンで勤務する
- 主に日本人経営や東洋医学専門の治療院で「治療家」として働くケースが多い。
- 美容鍼やスポーツサポートなど、専門技術が強みになる場合も 。
2. 豪華客船での鍼灸師・治療者として活動
- クルーズ船で乗客に施術を提供。旅しながら仕事ができ、英語力や柔軟性も求められる {。
- Noteなどの体験談では、「情熱と勢い」が成功の鍵とされています 。
3. ボランティアや技能普及活動を通じた海外展開
- 青年海外協力隊などを通じ、資格制度の整っていない地域で活動する道も存在。
- 施術の普及や教育から関わるスタイルですが、高い志と忍耐が必要です 。

まとめ|「やめとけ」と言われても、納得の選択を
鍼灸師という職業には、収入面や業界の競争、資格取得にかかるコストなど、現実的なハードルが確かに存在します。こうした背景から「やめとけ」といった声が上がるのも事実ですが、それがすべての人に当てはまるとは限りません。
重要なのは、自分が鍼灸という技術や仕事にどれだけ本気で向き合えるか、自分に合った働き方や分野が見えているかどうかです。鍼灸師は、医療・福祉・美容・スポーツ・海外など多彩な分野で活躍できる可能性があり、キャリア次第で大きなやりがいと安定を手にすることもできます。
現実の課題に目を背けず、正しい情報をもとに判断することで、後悔のない進路選択ができるはずです。「やめとけ」の声に振り回されるのではなく、自分自身の意思で、納得できる未来を描いてください。あなたの選択を、応援しています。
コメント