「新規の集客はできているのに、リピーターが定着しない…」そんな悩みを抱える整骨院経営者は少なくありません。
リピート率の低さは売上の不安定さに直結し、広告費の無駄やスタッフのモチベーション低下にもつながります。
この記事では、整骨院のリピート率を上げるための実践的な改善方法を、初診時の対応からアフターフォロー、院内導線の工夫、スタッフ教育まで多角的に解説します。
再来率を高めたい院長や現場スタッフに向け、実際に成果が出た事例や使えるテンプレートも紹介しています。
このページでわかること
- 整骨院のリピート率の計算方法と平均目安
- 再来率が下がる原因と改善すべきポイント
- 初診カウンセリング・施術後対応の最適化
- LINEや予約導線を活用したフォロー術
- 成功事例をもとにしたPDCAの具体例
整骨院におけるリピート率の基礎知識

整骨院においてリピート率は、安定した経営を実現するための重要指標です。
単に施術の質だけでなく、接客対応や予約のしやすさといった複数の要素が影響するため、全体を俯瞰した運用改善が求められます。
リピート率の平均と計算方法
リピート率は次の計算式で算出されます。
- リピート率の計算式
↳(再来患者数 ÷ 初診患者数)× 100
たとえば、ある月に30人の初診患者が来院し、そのうち18人が再来した場合、リピート率は「60%」となります。
整骨院業界での一般的な初回リピート率の平均は「40~60%」で、70%を超えると非常に安定した院と評価されます。まずは現在の数値を把握することが改善の第一歩です。
リピート率が下がる主な原因とは?
リピート率の低下には、施術の内容以外にも多くの要因が関わります。以下に主な原因をまとめました。
要因 | 具体的な問題 |
---|---|
初回対応 | 受付・施術前の説明不足、緊張感を与える対応 |
施術効果 | 効果の実感が乏しい、痛みの原因の説明が曖昧 |
通院計画の不透明さ | 何回来れば改善するのかが分からない |
院内環境 | 騒音、清潔感不足、スタッフ間の雰囲気が悪い |
予約導線 | 次回予約を提案しない、予約方法が複雑 |
改善のためには、これらの要素を一つずつ見直し、現場での声を吸い上げる体制を整えることが有効です。
患者の再来意欲を左右する心理要因
患者の再来行動は、施術の満足度だけでなく、心理的な“通いやすさ”にも強く影響されます。以下のような心理要因が再来を左右します。
- 「ここなら任せられる」と感じられる安心感
- 自身の症状に対して適切な理解と提案があったか
- 施術者との信頼関係(共感や傾聴)が築けたか
- 強引でなく、自然に次回予約へ導かれたか
リピートを生むのは「技術」だけではなく、「信頼と納得感」によるものです。そのため、初回からの関係構築が極めて重要となります。
リピート率を高めるための施策と工夫
整骨院でリピート率を高めるには、患者の初回来院から次回予約までの一連の体験設計が鍵となります。
単に施術の技術に頼るのではなく、カウンセリングの質やアフターフォロー、予約のしやすさまで含めた総合的な改善が求められます。
初診カウンセリングの質を上げる
初診カウンセリングは、リピート率を左右する最も重要な接点の一つです。患者が不安なく施術を受けられるよう、次のポイントを意識しましょう。
- 症状の背景や生活習慣を丁寧にヒアリング
- 現在の状態と改善までの道筋をロジカルに説明
- 共感と傾聴をベースに信頼関係を構築
- 目標設定と通院プランの提案
施術より先に“安心”を提供する姿勢が、再来のきっかけになります。
施術後のフォローと次回提案の徹底
施術後のひとことや次回予約の提案は、リピート率を上げる最短ルートです。終了直後にしっかりフォローを入れましょう。
- 「本日の施術内容と身体の変化」の説明
- 日常生活でのアドバイスやセルフケア指導
- 次回来院の目安と目的を明確に伝える
- 予約をその場で取りやすくする仕組み
次回提案を「営業」ではなく「提案」にする言い回しの工夫も重要です。
院内環境・接遇のチェックポイント
施術の内容がよくても、院内環境が悪ければ再来にはつながりません。以下の項目を定期的にチェックしましょう。
- 清掃状況(トイレ、受付、ベッド周辺など)
- スタッフのあいさつ・声かけ・笑顔
- BGM・照明・空調のバランス
- 私語や雑音の有無
患者が「また来たい」と思える空間を意識することが大切です。
予約導線の整備とLINE活用法
次回予約がスムーズにできる仕組みを整えておくことで、離脱を防げます。とくにLINEとの連携は有効です。
- 予約ページへのQRコード掲示
- LINE公式アカウントから予約リマインド
- 施術後のLINE配信で再来を後押し
- キャンセル・変更もLINEから可能にする
スマホ1つで予約・変更が完結する利便性が、リピート行動を自然に促します。
リピート率向上のための運営改善
リピート率を持続的に改善するためには、現場対応だけでなく「組織的な運用管理」が必要です。スタッフの行動を可視化し、再来に繋がる接遇やサービスが院全体で標準化されているかを検証することが重要になります。
スタッフ別リピート率の分析と指導
スタッフごとの対応には差が出やすく、リピート率にも影響します。数値をもとにしたフィードバックが、教育の質を高める鍵となります。
- スタッフ別の初回・再来率を毎月集計
- 高リピートのスタッフの対応をマニュアル化
- 接遇チェックリストで基準を明文化
- 面談を通じて改善点を一緒に振り返る
データを共有することで、個人の努力がチーム全体の成果に繋がる仕組みが生まれます。
回数券・通院計画の提案方法
通院が習慣化されやすい環境をつくるには、先を見据えた提案が欠かせません。患者に納得して通ってもらうためには、見せ方や伝え方に工夫が必要です。
- 「今後どのように回復していくか」の予測図を見せる
- 通院計画は“目的”と“回数”をセットで説明
- 回数券は無理に売らず、「経済的に通いやすくなる」と位置づける
- 同意が得られたら書面に残すことで納得感を強化
無理のない提案が信頼関係を築き、リピートにつながります。
リピート率の可視化と目標管理の方法
目標設定と進捗管理が曖昧だと、改善のスピードは鈍化します。可視化と共有を意識した管理手法が求められます。
管理項目 | 目的 | ツール例 |
---|---|---|
スタッフ別リピート率 | 個別フィードバックと教育 | Excel、Googleスプレッドシート |
週別・月別リピート率 | 季節変動や施策効果の把握 | POSレジ連携のダッシュボード |
カウンセリング完了率 | 説明不足の改善 | カウンセリングシート管理アプリ |
こうした管理項目を院内で共有することで、スタッフ全体の意識が変わり、改善活動が継続しやすくなります。
成功事例に学ぶ|リピート率改善の実例
リピート率の向上に成功した整骨院には、いずれも“継続的な改善”と“患者理解の深さ”があります。この章では、実際の事例を通じて、すぐに取り入れられるヒントや戦略を紹介します。
口コミ評価を上げたカウンセリング改善
ある整骨院では、Googleマップの評価が平均3.2点から4.5点へと大幅に向上。その背景には、初診カウンセリングの内容改善がありました。
- 症状の聞き取りをテンプレート化し、漏れを防止
- 施術の目的・通院の意義をホワイトボードで可視化
- 終了後に「本日行った内容・次回の目標」を紙で手渡し
これにより、患者側に「聞いてくれた」「理解できた」「納得して通える」という安心感が生まれ、リピート率が大幅に改善されました。
LINEボット・自動化で再来を促す方法
LINE公式アカウントを活用し、来院後のフォローアップを自動化した整骨院では、再来率が平均15%以上アップ。以下のような工夫がポイントです。
- 施術直後に「本日の施術内容と次回来院目安」のLINEメッセージを自動送信
- 3日後・7日後に状態確認や次回予約の案内を自動配信
- 誕生日や通院記念日などにメッセージを送信し、関係性を強化
定期的な情報発信が、患者の心に“忘れられない院”として印象付ける効果を生んでいます。
PDCAを回したリピート率向上の流れ
ある院では、スタッフ全員が「月ごとにリピート率目標」を持ち、改善点をPDCAで回す仕組みを導入。その成果として、半年間で初診リピート率が42%から68%に上昇しました。
フェーズ | 実施内容 |
---|---|
Plan | 目標リピート率を設定し、課題と改善策を可視化 |
Do | 改善策を現場で実行(カウンセリング改善、次回提案強化など) |
Check | 週単位で数値を確認、スタッフで原因と対策を話し合う |
Act | 次月の改善に向けて施策を更新 |
このように、「目標設定→実行→共有→再計画」のサイクルを習慣化することで、院全体の意識と行動が統一され、大きな成果につながりました。

まとめ|整骨院のリピート率を改善して安定経営へ
整骨院経営において、リピート率は安定した収益と信頼関係の構築に直結する重要な指標です。この記事では、リピート率の算出方法や平均値を踏まえ、下がる原因とその改善策を多角的に解説しました。
初診カウンセリングの質を上げる、施術後のフォローを丁寧に行う、院内の環境や接遇を整えるなど、どれも小さな工夫の積み重ねがリピート率向上につながります。さらに、予約導線の整備やLINEによる自動フォロー、スタッフ教育や数値管理の仕組みづくりも長期的な効果を発揮します。
実際の成功事例では、「信頼」「納得感」「通いやすさ」を意識した対応が、再来を生む鍵となっていました。
まずは現在のリピート率を把握し、自院にとっての課題を明確にすることから始めましょう。そして、改善のPDCAを小さく、確実に回していくことが、安定した経営への第一歩となります。
患者の人生に寄り添う整骨院を目指し、今日からできる一歩を踏み出してみてください。
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