脳神経の副交感神経!語呂合わせと図解で完全理解

脳神経の副交感神経!語呂合わせと図解で完全理解

脳神経は12対もあり、名称や番号だけでも混乱しやすいもの。

さらに「副交感神経を含む脳神経はどれか?」という問題になると、該当する神経だけをピンポイントで覚える必要が出てきます。国家試験や医療系の授業では頻出ですが、丸暗記ではすぐに忘れてしまいがちです。

この記事では、副交感神経をもつ脳神経を覚えるための語呂合わせや記憶法を紹介し、楽に確実に覚えられるよう工夫しました。「3・7・9・10って何?」という疑問にもすぐ答えられるようになり、脳神経の全体像の理解にもつながります。

このページでわかること

  • 副交感神経の基本的な役割と交感神経との違い
  • 副交感神経を含む脳神経の番号と名称(3・7・9・10)
  • 語呂合わせやストーリーでの効率的な覚え方
  • 臨床での重要性や迷走神経の支配範囲
  • 試験対策に直結するポイントの整理方法

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目次

副交感神経とは?基本をおさらい

副交感神経とは?基本をおさらい

副交感神経は、自律神経の一部として体内の安静・回復を司る重要な神経系です。心拍数を落ち着かせたり、消化を促したりといった「リラックスモード」に働く神経で、交感神経と対をなして生理機能のバランスを保っています。

ここでは、交感神経と副交感神経の違い、副交感神経がどのような働きをするのかを簡潔に整理し、副交感神経を含む脳神経を学ぶための基礎を押さえましょう。

交感神経と副交感神経の違い

自律神経は「交感神経」と「副交感神経」に分けられ、それぞれ以下のような対照的な作用を持ちます。

機能交感神経副交感神経
心拍上昇低下
消化管運動抑制促進
気管支拡張収縮
瞳孔散大縮小

交感神経は「闘争・逃走(fight or flight)」に備える緊張状態に働き、副交感神経は「休息・消化(rest and digest)」に関与する、というイメージが重要です。

副交感神経の働きと重要性

副交感神経は体をリラックスさせ、内臓機能を安定させる役割を担います。以下に主な作用をまとめました。

  • 心拍数の低下
    ↳心臓の活動を抑えて安静状態を維持する
  • 消化液の分泌促進
    ↳唾液腺・胃腺・腸腺などの働きを活性化
  • 排泄の調節
    ↳膀胱の収縮を促し、排尿をスムーズにする
  • 呼吸の安定化
    ↳気管支収縮により呼吸数を落ち着かせる

このように、副交感神経は「体を落ち着かせ、修復する」方向に働きます。そのため、どの神経が副交感機能を担っているかを把握することは、解剖学・生理学・臨床判断すべてにおいて重要な知識となります。

副交感神経を含む脳神経はこの4つ

12対ある脳神経のうち、副交感神経線維を含むのはわずか4つだけです。それぞれの神経がどこから出て、どの器官に働きかけるのかを明確にしておくことで、知識が整理され、試験でも迷いなく選べるようになります。

第3脳神経:動眼神経

動眼神経は中脳(midbrain)から出てくる神経で、眼球の運動に関わる運動神経成分と、副交感神経成分の両方を持っています。

  1. 起始部:中脳の動眼神経核およびエディンガー・ウェストファル核
  2. 副交感神経の作用:瞳孔括約筋と毛様体筋に作用(眼球運動に関与)
  3. 機能:瞳孔を縮小(縮瞳)、水晶体を厚くして近くにピントを合わせる

※瞳孔反射(光を当てると瞳孔が縮む反応)にも関与しており、臨床的にも重要な評価ポイントとなります。

第7脳神経:顔面神経

顔面神経は橋(pons)から出る神経で、表情筋の運動に加えて、副交感神経成分としても重要な機能を担っています。

  • 起始部:橋の顔面神経核と上唾液核
  • 副交感神経の作用:涙腺、顎下腺、舌下腺などの分泌を促進
  • 機能:涙の分泌、唾液分泌、角膜反射にも関与

顔面神経麻痺が起きると涙や唾液の分泌にも影響が出るため、副交感神経としての働きも臨床では見逃せません。

第9脳神経:舌咽神経

舌咽神経は延髄(medulla oblongata)から出て、味覚や嚥下に関わる感覚・運動神経成分に加え、副交感神経も持ち合わせています。

  • 起始部:延髄の舌咽神経核および下唾液核
  • 副交感神経の作用:耳下腺への唾液分泌を制御
  • 機能:舌の後方1/3の味覚と耳下腺からの唾液分泌

副交感神経としては「耳下腺」という限局的な支配ですが、唾液分泌の重要な経路のひとつです。

第10脳神経:迷走神経

迷走神経は延髄から出る最も長く、かつ最も広範囲に副交感神経を供給する脳神経です。

  • 起始部:延髄の迷走神経背側核および疑核
  • 副交感神経の作用:心臓、肺、消化管(横行結腸まで)など広範囲を支配
  • 機能:心拍数低下、気管支収縮、胃腸運動・分泌の促進など

副交感神経の中枢的存在とも言える迷走神経は、臨床でも頻繁に問題になる重要な神経であり、自律神経系の理解のカギとなります。

覚え方のコツ|語呂合わせ&記憶法

脳神経は全部で12対ありますが、副交感神経を含むのはたったの4つ。それなのに「どれが該当するのか」が混乱しやすいポイントです。ここでは、語呂合わせやイメージを活用して、確実に思い出せるような記憶法を紹介します。短時間で整理でき、試験前の復習にも効果的です。

語呂合わせで一発暗記:「動く顔で舌を迷わす」

副交感神経を含む脳神経は以下の4つです。

  • 第3脳神経:動眼神経
  • 第7脳神経:顔面神経
  • 第9脳神経:舌咽神経
  • 第10脳神経:迷走神経

これをまとめた語呂がこちら:

「動く顔で舌を迷わす」

  • 動 → 動眼神経(3)
  • 顔 → 顔面神経(7)
  • 舌 → 舌咽神経(9)
  • 迷 → 迷走神経(10)

この語呂はリズムが良く、ストーリー性もあるため暗記が苦手な人にもおすすめです。

数字で覚える:「3・7・9・10=みな苦闘」

番号だけで覚えたい場合は、次のような語呂が便利です。

「3・7・9・10」→「みな苦闘」

  • み(3)→ 第3脳神経
  • な(7)→ 第7脳神経
  • く(9)→ 第9脳神経
  • とう(10)→ 第10脳神経

数字だけ覚えたい人には特に有効で、選択肢の中から副交感神経を即答したいときに使えます。

ストーリーで覚える副交感神経の流れ

ただの語呂だけでなく、「ストーリー化」することで、記憶のフックが増えます。以下のようなシナリオでイメージしてみましょう。

「目を細めて(動眼)、感動して涙を流し(顔面)、味わいながら唾液を出し(舌咽)、内臓までほっと落ち着く(迷走)」

  • 動眼神経:瞳孔縮小→目を細める
  • 顔面神経:涙腺・唾液腺→泣く・唾液が出る
  • 舌咽神経:味覚と耳下腺→味わい・唾液
  • 迷走神経:内臓支配→消化や心拍が落ち着く

このように、身体反応の流れをストーリーに乗せて覚えることで、丸暗記せずに定着しやすくなります。

副交感神経

副交感神経の臨床的な意味

副交感神経は試験に出やすいだけでなく、実際の医療現場でも非常に重要な役割を果たします。とくに迷走神経と顔面神経は、疾患や障害の評価、治療判断にも直結するため、臨床との関連もセットで覚えておくと知識の定着に役立ちます。

迷走神経の臓器支配と臨床での役割

迷走神経(第10脳神経)は副交感神経の中でも圧倒的に広範囲を支配しており、脳幹から出て胸部・腹部まで到達し、さまざまな臓器の働きをコントロールしています。

  • 心臓
    ↳心拍数を抑える副交感支配。迷走神経が過剰に刺激されると徐脈や失神の原因に

  • ↳気管支の収縮を調節。喘息などの呼吸器疾患にも影響
  • 消化管(胃・腸)
    ↳蠕動運動や消化液分泌を促進。迷走神経障害で消化不良や便秘が起こることも

臨床では、迷走神経反射によって意識消失や嘔気が起こることがあり、「血管迷走神経反射」としてよく知られています。検査や注射の際に起きることが多く、看護師や医師が注意すべき重要な反応です。

顔面神経麻痺と唾液腺・涙腺の関係

顔面神経(第7脳神経)は表情筋を動かすだけでなく、涙腺や唾液腺を支配する副交感神経成分も持っています。これが障害されたとき、単なる「顔の麻痺」だけではない症状が現れます。

  • 涙が出ない・目が乾く
    ↳顔面神経麻痺で涙腺への副交感刺激が途絶えるため
  • 唾液が出にくくなる(特に顎下腺・舌下腺)
    ↳口内乾燥、食べ物の飲み込みにくさが起こる
  • 味覚の変化
    ↳舌の前方2/3の味覚神経(鼓索神経)も顔面神経の枝であるため影響が出る

ベル麻痺などの顔面神経障害では、こうした副交感神経症状の有無も重要な評価項目です。見落とさずに観察することが、適切な対応につながります。

まとめ|副交感神経の脳神経を確実に覚えよう

脳神経の中で副交感神経を含むのは、第3(動眼神経)、第7(顔面神経)、第9(舌咽神経)、第10(迷走神経)の4つだけです。この記事では、これらの神経がどこから出て、どんな働きを担っているのかを整理し、語呂合わせやストーリー記憶を通じて、暗記に頼らない理解を目指しました。

特に迷走神経は臨床でも非常に重要で、心臓・呼吸・消化器など幅広い内臓機能に影響を与えます。また、顔面神経の涙腺・唾液腺支配など、副交感神経の作用は日常的な症状とも深く結びついています。

記憶の定着には、数字・語呂・イメージを繰り返し活用し、単なる丸暗記ではなく「理解で覚える」ことがポイントです。副交感神経の知識は、試験だけでなく臨床現場でも必ず役に立ちます。確実に身につけて、現場や試験で迷わない知識へと変えていきましょう。

理解できたら実践しよう!

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